一昔前は街中でもよく看板を見かけたディックやアイクは、消費者金融業者として多くの方に利用されていました。グレーゾーン金利の当時は、今では名前を聞かなくなってしまった中堅どころの消費者金融も数多くあり、それこそ消費者金融バブルとも言える時代です。
しかし現在では上限金利がしっかりと定められ、グレーゾーン金利が撤廃されました。合わせて借り過ぎ、貸し過ぎを防ぐ総量規制が導入されたことで、多くの中堅どころの消費者金融は廃業や、消費者金融同士の統合、大手金融機関による買収などがされています。
一時期はテレビCMまで放映していたほどのアイクはディックに統合され、ディック自体も親会社のシティがサブプライム関連で大きな損失を計上したことにより、消費者金融としての貸付の業務を停止しています。
現在のディック公式サイトを見ると、新規申し込み停止の案内のページに、一部業務提携を行っているプロミスを紹介する旨が書かれています。プロミスも今に至るまでに様々な統廃合を繰り返したキャッシングブランドですが、アイクやディックと比べると、今でも生き残っていて大手消費者金融になっているところを見ると、大きく成功をしている消費者金融と言えます。
ディックはアイクだけでなく、やはりタレントを起用してテレビCMを行っていたユニマットレディスも統合をしている歴史があります。ユニマットレディスは女性専用のキャッシングローンとして親しまれており、知名度もあったため、ディックに統合前のシティグループ傘下になった後でも、ユニマットレディスとしてのブランドで業務を続けていました。
アイクにしてもユニマットレディスにしても、ディックの親会社にあたるシティグループの巨額損失による経営悪化の影響を受けた形です。消費者金融業界もピークを過ぎていた感もあったため、消費者金融事業の見直しで、消費者金融としての業務の大幅な縮小、全店舗の閉鎖などを行い、最終的には新規申し込みの受付を停止しています。
ディックと契約中の方は引き続き返済をしていきますが、店舗が無いので提携するATMか、インターネットでの入金が行われています。以前はファミリーマートに設置がされているFamiポートでの返済も出来たのですが、取り扱いが終了をしているために現在は利用が出来ません。
アイクはディックに統合がされてからとなりますが、ブランドを継続していたユニマットレディスを含め、いくつかの特徴的なサービスの提供をしていました。そのうちの一つが無利息キャッシングです。
今ではプロミスがメールアドレスとWeb明細の利用登録で、アコムは無担保カードローンの利用と35日ごとの返済サイクルで、それぞれ初回契約時には30日間の無利息サービスが利用できますが、ユニマットレディスを含むアイク統合後のディックでも同様のサービスを行っていたのです。
親会社のシティグループの日本法人、「CFJグループ」の消費者金融キャッシングブランドを初めて使う方は、初回契約日の翌日から30日間が無利息となる「30フリー」です。グレーゾーン金利時代で30日間の無利息となると今よりもお得感が強く、例えば30万円を29.2%の実質年率で利用していたとすると、30日間の利息7,200円が浮く計算となります。
その他、ディックでは店舗や無人契約機での手続きが不要、自宅への郵送物も無い、今で言うところのSMBCモビットのWeb完結のような貸付を「ケイタイプ」のアプリで提供をしていました。SMBCモビットのWeb完結のように電話無しとはいきませんが、来店不要で郵送物も不要とするのは、内緒で借りたい方にとっては有難い内容となります。
ディックでは、無担保となるキャッシングローン以外にも、不動産を担保とする不動産ローンの提供を行っていました。担保価値がしっかりとしており、評価がされれば借り手の信用に若干の難があるとしても、担保評価によってお金が借りられたのです。
不動産担保ローン自体は言うまでも無く現在も様々な金融機関で提供をしていますが、消費者金融が不動産を担保にしてお金を貸し付けるのは珍しいです。現在の消費者金融一覧で見ても、不動産担保ローンを行っているところは非常に少なく、大手のプロミス、アコム、アイフル、SMBCモビットなどは一切取り扱いをしていません。
アメリカの超が付くほどの大手のシティグループ傘下となったアイク、ユニマットレディス、そしてディックも、当時は新規での申し込みを停止する、消費者金融としてのサービスの提供を終わらせるなどとは、利用者はもちろん、名前を知っているだけの方も思わなかったことでしょう。
いくら統合を繰り返していたとは言っても、ディックと言えば当時は他の消費者金融と肩を並べる、それこそ知名度も高かったキャッシングサービスです。それが事実上の事業撤退となるとは、消費者金融業界の先行きもなかなかに分からないものです。
今では大手キャッシングブランドとしての地位を築いているプロミスにしても、過去には様々な消費者金融の統合、吸収がされています。アコムもキャッシュワンを吸収合併しているなど、消費者金融は何かと動きの激しい業界です。
ライフティのような新規参入でサービスを拡大する消費者金融がある一方で、銀行のグループとなるダイレクトワンや、サービス内容を昔とは変えて提供しているノーローン、その他の中堅消費者金融など、非常に多くがあります。
どこが良くてどこかダメといった話ではありませんが、統合や吸収がされると自宅に郵送物が届く可能性もあります。統合や吸収に関するお知らせといった類のものです。そうならないためにも、なるべくなら健全なところ、信頼の出来るところを利用すべきなのです。