20代から40代のいわゆる働き盛りといわれる人たちとその妻に、今気になることは何?という質問をしますと、大多数の方から「将来への不安」という答えが返ってきます。
将来の不安というのは、もちろん日本経済がこの先どうなるかという心配もあるでしょうが、もっと身近な不安として、「自分の年金がどうなる?本当にもらえるの?」ということではないでしょうか。
20代から40代のいわゆる働き盛りといわれる人たちとその妻に、今気になることは何?という質問をしますと、大多数の方から「将来への不安」という答えが返ってきます。
将来の不安というのは、もちろん日本経済がこの先どうなるかという心配もあるでしょうが、もっと身近な不安として、「自分の年金がどうなる?本当にもらえるの?」ということではないでしょうか。
この不安には実に多くの問題が伴います。もっとも分かりやすいところで言いますと、まずは少子化によって自分世代を養う労働力がない、つまりは年金の財源が確保できないことです。
戦後のベビーブームをピークとして、確実に日本の労働力は減少の一途をたどっています。それは単に人口の減少のみに留まらず、パートや派遣など様々な雇用形態が増えたことによる働き方の変化にともなうものです。
少し前に、「団塊の世代」と呼ばれる戦後ベビーブームの人たちが一斉に年金をもらいはじめると年金は破綻するに違いない、と大騒ぎになったことがあります。しかしながら現実に団塊世代が年金受給者となった今、年金制度はまだ続いています。
むろん、支給額が減る、受給できる年齢が上がる、など様々な問題を抱えつつも、制度自体は崩壊していません。少し前のあの騒ぎは何だったの?と思われる向きも多いでしょう。
団塊世代に対しては、何とか持ちこたえているかに見える年金制度ですが、それでもやはり若い人にとって不安の種であることには変わりありません。
では具体的に、年金制度が破綻するのはいったいいつなのか?その大胆予想をここでしてみます。
予想をする前に、そもそも年金って何なの?という素朴な疑問にお答えしたいと思います。
わかっているようで実はよくわからない・・・というのが日本の年金制度ではないでしょうか。とにかく複雑で難解、というイメージですね。
サラリーマンですと給料から毎月天引きされていますが、さてその数字がどこから出ているのか、まではなかなか知る機会がないかもしれません。実際に年金事務に携わっている者ですら、私の年金保険料はいくらですか?という問いに即答できる人は少ないでしょう。
厚生年金の保険料は所得から計算されます。それも一ヶ月間ではなく、ある一定期間の給料によって査定されます。ですから金額は毎年変わります(もっとも最近では以前ほどの変化はないと思います)。
サラリーマンの妻の方で誤解されている方が多いので繰り返し申しますが、夫が支払っている年金保険料に、妻の分は加算されていません。サラリーマンの専業主婦は保険料0円です。
お年を召した方からは、いったいいつからそうなったの?私はちゃんと年金支払ったわよ!という悲鳴が聞こえてきそうですね。
あるいは、自営業の主婦から、同じ専業主婦なのに私は月々15,250円も支払っているわ、不公平!という声があがるのも当然です。
サラリーマンの妻は、年金保険料をまったく支払わなくても、将来国民年金を受け取ることができる制度を、第三号被保険者制度(主婦の税金と年金のこれからについて考えてみるでも軽く触れています)といいます。これができたのが、1986年です。この年が、現在の年金制度とその破綻を語る上での一つのキーワードとなります。
なぜこのような制度ができたのかを説明しますと、日本における「国民皆年金」が実現したのが1961年です。この時点で、サラリーマンの妻や自営業の妻は「任意加入」でした。任意というのは、入りたければ入ればいいというものですから、加入しない人は将来無年金となる可能性がありました。
これではまずいというので、1986年に年金改正が行われた際、サラリーマンの妻は保険料を支払わなくても年金がもらえるという、第三号被保険者制度ができました。
この時になぜ自営業者の妻が除外されたかといいますと、自営業には定年がない、というのが理由です。自営業者の妻は夫と同じ仕事をしている、つまり妻も定年がない、という根拠のない理屈によるものでした。
サラリーマンの妻も年金保険料を支払うことになりますと、年間17兆円を超える財源になると言われています。すごい数字です。言い換えるならば、国は毎年17兆円ずつを失っていることになります。
3号に対する年金支給はすでに始まっています。ただし金額的にはまだ満額とならないケースが多いはずです。なぜなら国民年金は、20歳から60歳までの40年間すべてを支払ったところで満額もらえるシステムになっているからです。ならばいつ本当の危機を迎えるのでしょうか?
そのXデーはズバリ、12年後の2026年です。
根拠を簡単に説明しますと、1986年当時の女性の平均結婚年齢は25歳でした。当時の女性たちには「25歳定年制」などという言葉があり、クリスマス(25歳)を過ぎたら売れ残りのケーキなどと言われていました。
当時25歳の女性は2014年に53歳になっています。国民年金を受給できるのは65歳からです。つまり、あと12年待てば年金を受給できるわけです。おそらくその頃には受給年齢の引き上げがされているでしょうが、あくまでも現在のままと仮定してのお話です。
2026年前後から、第三号被保険者制度の恩恵を受けた女性たちが一斉に年金を受給し始めます。財源ゼロのところから、年間17兆円の4倍以上(今年の基礎年金は64,400円)のお金を捻出しなければならないとなると、いったいどうなるでしょうか?
そしてそれはこの制度が続く限り、延々と続くのです。すでに「危機」ではありません、「破綻」です。
年金破綻を回避する方法はいくつかありますが、まずはこの3号制度を廃止すること、そして女性たちに働いてもらい、正当な額の年金保険料を支払ってもらうこと、それが一番の近道といえるのではないでしょうか。