皆さんは、お金を借りるときどんなところからお金を借りますか?消費者金融や信販会社という方もいますが、ある程度まとまったお金になりますと「銀行」と考える方も多いことでしょう。
銀行はもっぱら利用者にお金を貸し出す側ですが、実はそんな銀行もお金を借りています。どこから借りているのかと言えば、それは、同じく銀行です。とは言っても我々の生活に直接的に関わる都銀や地銀の普通銀行とは違い、少し特殊な「日本銀行」です。
名前くらいは聞いたことがあるけどよく分からない、今回はそんな日本銀行について見ていきます。
日本銀行と聞いてまず思い浮かべるのが「日本銀行券」と呼ばれるもの。名前を聞いてピンと来ない方でも、福沢諭吉や樋口一葉、野口英世が描かれているあの紙だといえば分かるでしょう。そう、日本銀行は紙幣を発行できる日本唯一の機関なのです。
ちなみに、細かい話となってきますが、10円玉や500円玉などの貨幣に関しては、日本銀行ではなく国が所管する独立行政法人が行っています。紙幣を発行する銀行であるため、日本銀行は「発券銀行」とも呼ばれています。
日本銀行の2つ目の役割、それは「政府の銀行」です。国民から集めた税金や民間銀行が購入した国債の代金は、政府から日本銀行に入金されます。それから政府が予算を立てて、それに伴い公共事業やその他事業、公務員の給与の支出があるときに、政府が日本銀行から引き出すことができるのです。
ですので、我々一般市民が日本銀行に100万円を預けたいと思っても、それは無理な話です。
3つ目の日本銀行の役割、それは「銀行の銀行」です。銀行の銀行ですから、我々が普通銀行にお金を預けるように、民間の銀行は日本銀行に預金することが出来ます。
とは言っても、民間の銀行の資産の全てを日本銀行が預かるわけではありません。民間銀行の預金の一部を、日本銀行が無利子の当座預金で預かっています。
では、その預かった預金はどうするのでしょうか。これも国の公共事業や公務員の給与に消えていくのでしょうか。そんなことはありません。銀行から預かった預金は、民間の銀行から日本銀行に「お金を貸してください」と言われたときに貸すための資金としてプールしてあるのです。
1994年10月になると、民間の銀行が金利を自由に設定できる「金利自由化」が開始されました。これによって、日本銀行が公定歩合を上げたり下げたりしても、民間の銀行はそれに必ずしも追従する必要はなくなったのです。
金利を自由に決められるので、そのまま据え置いてもいいですし、逆の金利の動きをさせても構わないのです。
このままでは、日本銀行は景気の調節をすることができなくなってしまいますが、そこで目をつけたのが国債の売買によって景気を調節するという方法です。これを「公開市場操作」(オペレーションともいいます)と言います。
簡単に言えば民間の銀行にあるお金の量を直接コントロールすることによって、景気を安定させようとする考えです。
景気が悪いときには、日本銀行は積極的に国債を買い付けます。すると民間の銀行はそれを売ったお金で手元に現金が増えますので、一般の利用者にお金を貸しやすくなり、金利が低くなります。
一方、景気が良いときには、日本銀行は積極的に国債を売ります。そうすると、国債を購入することによってお金が民間の銀行から日本銀行に流れていきます。結果、景気が悪いときとは正反対のお金の流れを作り出せるのです。
日本銀行は、日本の中央銀行という位置付けであり、日本銀行が打ち出す金融政策は、日本のみならず世界中に大きな影響を与えています。株式市場にも大きな影響を与え、もちろん「円相場」にもダイレクトに大きな影響を与えます。
日本銀行が円を安くしようと思えば出来てしまうもので、逆に円を高くすることだってある程度は可能です。日本円のお金としての価値は、全て日本銀行の「匙加減」とも言えるもので、それだけに独立性、中立性が強く求められているところでもあるのです。