大学生の頃から借金を繰り返して困った方の話
消費者金融にしろ銀行にしろ、20歳以上で安定した収入さえあれば、申し込みが出来るようになっています。申し込みが出来るのであれば、審査を受ける資格があることになり、基準さえクリア出来れば借り入れもOKとなるわけです。
しかし、学生時代は学業にも遊びにも忙しいため、金銭的な余裕はそこまで大きくありません。ましてや過去であれば総量規制も無く、業者が許せばいくらでも借りられた時代です。そんな時代に学生がキャッシングに手を出してしまえば、たちまち返済が出来なくなるのも目に見えています。
そんな時代に当時は大学生だった方が、キャッシングを繰り返して大失敗をしてしまった話を聞くことが出来ましたので、当時から現在までを振り返ってもらいつつ、話を伺ってきました。
奨学金ではまかないきれなくなった生活費や支払い
現在は30代の後半で、初めてキャッシングをしたのが20歳の頃と、じつに10年以上、あと少しでかれこれ20年近くキャッシングとの付き合いがある今回のキャッシング経験者。初めてのキャッシング利用は遊びすぎによる生活費の不足、多くの借金を抱える原因となったのは「奨学金ではまかないきれなくなった返済資金」によるものだそうです。
「20歳になったらクレジットカードが作れると、サークルの2歳年上の女性から聞いていました。困ったらATMにクレジットカードを差し込めば、好きなようにお金を借りれるとのことでした。20歳になった時に即日窓口へ行き、作成しました。」
現在の三井住友VISAカードには、「デビュープラス」とされる18歳から持てるクレジットカードがありますが、ショッピングではなくキャッシング機能を主として考えていたため、20歳からとの認識だったようです。
若い頃はどうしてもお金がかかるもので、かかるというよりは、無駄遣いが多いものです。特に大学生はサークルや合コン、友達との集まりなどで何かとお金が財布から出て行きます。アルバイトをしていても給料だけでは足りなくなる場合もあり、そんなときにキャッシングが出てくるのです。
「クレジットカードを作った当初は利用しなかったのですが、大学生よろしく生活費に困ることが多々あり、電気料、ガス料、水道料、飲み会代、等々の費用が足らない時に利用しました。」
元々は生活が出来ていたはずなのに、なぜ借りなければならなくなったかと聞けば、「遊びに使いすぎていたと思う」との答えが返ってきました。やはり大学生はお金を使いすぎてしまうもので、周りにあわせてしまうと、どうしても自分の生活レベルを超えた出費となってしまいます。
光熱費にしても生活費にしても、無ければどうにもなりませんので、その状況でお金が借りられるカードがあれば、借りてしまうのも当然と言えるでしょう。ただ、問題はその後です。
「最初は3万円程度を月々利用する程度でしたが、当時奨学金をもらっており、銀行の引き落としが10日、奨学金の振込が11日だったので、毎月1日遅れで引き落としがかかり、何とか払っていました。」
「しかし、だんだんキャッシングの額が大きくなり、奨学金6万円で支払いきれない状態で、大抵10日に残額をキャッシングし、そのまま銀行口座に入金し、翌日の奨学金と合わせて引き落としがかかるようにする、まさしく自転車操業となりました。」
3万円程度の月々の利用であれば、アルバイトの大学生でも十分に支払いが可能な範囲です。しかし、それを繰り返していると、「もう少し借りても大丈夫だと思った」と言っているように、借金が癖になってしまい、あと少しあと少しとどんどんと借りてしまいます。
気が付いたときには支払いが苦しい状態になっている場合が多く、もはや自分の財力だけではどうにもならなくなってしまうのです。
学生ローンで借金が雪だるま式に膨れ上がる
無駄遣いを極力抑え、遊びも控えて何とか返済をしていた最中に、今度は旅行の計画が持ち上がってしまいます。返済でギリギリの生活を送っている中では、当然ながら旅行の費用などはありません。しかし、ここでも周りの方に流されてしまい、結局は借金をしてしまったのです。
「友人から学生ローンの話を聞いて利用することになりました。」
「限度額30万円でATMタイプの機械からお金を引き出せるとのことで、返済は月々1万円を指定日にATMへ入金する方式でした。旅費として5万円借り、それだけにするつもりだったのですが、やはりお金が足りない、その他のクレジットカードの支払いが、生活費が、といっているうちに、限度額いっぱいに借りてしまい、数回返済してまた借りるの繰り返しとなりました。」
言い方は悪いですが、典型的な多重債務、借金で失敗をする方の思考であり、何かと理由をつけて少しずつ借り入れを増やしているうちに、限度額いっぱいまで借りてしまうパターンです。このパターンは最も性質が悪く、お金を何に使ったか明確に覚えていないため、借金だけが残って非常に大きな精神的な負担となります。
また、初めてのクレジットカードのときもそうですが、周りにキャッシングをしている身近な人がいると、借金に対する後ろめたさや危機意識が薄れる傾向にあります。「先輩が利用しているから」「友達が使っているから」と、キャッシングが妙に手軽で当たり前のものと思えてしまうのです。
周りに言いづらいお金の相談や、借金があることを打ち明けられる知人がいるのは良いのですが、だからと言って仲間内で借金を当然のこととしてしまうのは、良くありません。結局、学生ローンで借りた借金は、最終的に返済が滞るようになってしまったようです。
「最終的に大学卒業後に3カ月以上滞納し、ローン会社の人からの催促電話から逃れつつも、それでも踏み倒すつもりは無く、友人に代わりに電話をかけてもらい、親の印鑑を返済計画所に押してもらうことで一括返済の催促を和らげてもらい、月々15,000円の送金で完済することになりました。」
この学生ローンを完済するまでの間に、紆余曲折あって更に別の学生ローンを利用し、これに関しては「借りたお金を友人に貸して、友人から月々の返済をしてもらい、それを入金することになっていた」ようですが、「友人の返済が遅れる、代わりに立て替える、お金が無いから結局は自分がそこでまた借りる、の繰り返し」で、「無駄に借金を増やしただけ」だったようです。
ここも最終的には「滞納の末、しっかりと謝り、月々の約束通りの額面を入金することで完済となりました」と、学生時代からの借金は、大学卒業後まで引きずってしまったのです。
学生時代に作った他のカードで完全に返済不能に
学生ローンの支払いが遅れつつも、何とか支払っていた当時に、他のカードの作成もしていたと言います。
「マルイのカードでキャッシングが出来ると聞いたことがあったので、マルイに入って従業員に聞いてカードの作成しました。」
キャッシングを使ったことが無い方、あまり慣れていない方からすると、従業員に直接キャッシング用のカードの作り方や話を聞くのはハードルが高いですが、そのときは学生ローンの返済もあってお金に困っていたため、「何とも思わなかった」そうです。
そんなことよりも、とにかくお金が欲しい気持ちでいっぱいで、もはや恥ずかしさ、後ろめたさは無くなっていたようです。
「マルイのカードで破産、取り立てが厳しいとの話を聞いていて、マルイは手は出さないと思っていたのですが、それよりもお金が借りられれば良いとしか思わなかったと記憶しています。」
「話を聞くと月々決まった額を返済とする普通のキャッシングでしたし、しっかりと返済をしようと思ってカードを作り、そして、他のカードと同様の自転車操業、滞納、謝罪、返済、の流れとなってしまいました。」
カードを作った時点で、学生ローンの支払いが既に返済能力を超えていたにも関わらず、新たに作ったマルイのカードは、返済をしっかりとすると根拠の無い計画の下でお金を借りて、結局は同じように滞納をしてしまっています。
しかし、これだけでは終わりません。マルイのカードを滞納するまでの間にもう1枚カードを作っていたのです。
「マルイでキャッシングを利用している際に、従業員から声をかけられて、ゼロファーストのカードも作らないかと言われました。マルイのキャッシング残高とは関係なく、もう1枚キャッシング出来るカードが作れるということを知り、すぐに契約しました。」
以前のマルイはゼロファースト(現在は元マルイカードのエポスカードと合併しています)の名前で消費者金融事業を別会社で行っており、マルイのキャッシング利用者に対しては積極的な宣伝と、そして勧誘を行っていました。
マルイの従業員かゼロファーストの従業員か分からない人が常駐し、借り入れや返済が出来るATMがある店舗型のところでは、マルイのカードでキャッシングを利用していると、ATMの操作中でもお構いなしに後ろから声をかけてくるのです。
当時のマルイやゼロファーストのカードの審査は言わば「ザル」であり、無職でもカードが作れた時代です。マルイの支払いが多少は遅れていたぐらいでは、審査には落とされなかったのです(もちろん現在は異なります!)。
他にキャッシングが出来ると分かって、意気揚々とゼロファーストのカードを作ったのは良いものの、やはりと言うかなんというか「最後はマルイのカード同様の流れとなりました」と、支払いが出来なくなってしまったようです。
1枚のカードの支払いが出来なくなった時点で厳しい
今回のケースでは、初めてのカードである三井住友VISAの支払いが苦しくなった時点で、次の学生ローンに手を出さなければ、ここまで借金が膨らむことは無かったはずです。
支払いが苦しいのに、お金が無いのに旅行に行きたいからと、学生ローンで借金をしてしまったあたりで、完全に「お金が無いなら借りれば良い」との考えが染み付いてしまったのです。
何も旅行資金をキャッシングでまかなうのが悪い、と言っているわけではありません。学生の収入の少ない身分でありながら、遊びや旅行で借金を重ねてしまうのが問題であり、自身の返済能力を超えた借金の作り方は、褒められたものではないのです。
滞納をしていたカードは全て自分の力で完済
学生時代に始まった多くの借金は、遅れながらも「何とか滞納していた分も2年程で全て完済して、今は社会人として真面目に働いています」とのことです。債務整理などはせず、給料からしっかりと返済をして各社とも完済をして綺麗さっぱり終わらせたのは、さすがと言えるでしょう。
ただ、完済をした後にも他から借金をしようとしたようですが、さすがに滞納の履歴が信用情報機関に残っているせいか「全て完済して5年くらいはカードが作れませんでした」と言っています。借金で苦しんだはずなのに、また借りようとするのは、癖の一言で済ませられるのかと心配になりますが・・・。
地元に戻ってまた借金をしていて今後が不安です
大学卒業後に就職をしたところはどうにも馴染めなかったようで、現在は地元で働いており、仕事の関係で地銀にも顔を出す機会が多く、「地元の銀行で仲良くなる人も多くなる」と言います。
地銀は都銀と違って良い意味でも悪い意味でも閉鎖的な環境がありますので、地元の方に対しては非常に親身に、そして顧客を大切にしてくれる傾向があります。
そんな中で知り合いの行員に「カードローンを作ってみてはいかがでしょうか?」と説明を受け、完済後でも何社もクレジットカードの審査は落ちていたので、いくらお誘いがあったからと言って通るはずがないと、とりあえず申し込みだけをしてみると「何の問題も無く作成が出来てしまいました」ようです。
地元に戻ってきて仕事も続けていて、給料の振り込み口座になっている、顔見知りであるなど、地域密着となる地銀でのカードローン利用には適している方であるには間違いありませんが、審査に通ったのは本人も驚きだったと言っています。
昔にように返済に困らないように、今は適度に返済に注意しながら利用していると言いますが、借金で失敗をしてしまう方は、同じ過ちを繰り返す傾向にあります。余計なお世話かもしれませんが、くれぐれも返済には気をつけて下さいと、この場でお伝えさせていただきます。
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