平成26年、消費税率が5%から8%へと増税されました。これによって、たとえば土地2,000万円・外構費などを合わせた建物2,000万円(合計4000万円)の住宅の場合、土地には消費税はかからない(不動産取得税などはかかる)ため、建物分2,000万円×増税分3%=60万円の負担増となります。
しかし、政府は消費税増税によって新築住宅の着工が伸び悩まないよう支援策を打ち出しています。消費税が上がってしまったから住宅が買いづらくなったと短縮的に考える前に、国が打ち出す住宅支援策について知っておきましょう。
諸費税増税とともに始まったのが、「すまい給付金」です。「給付金」という名が示す通り、一定の金額がそのまま支給されます。給付額は収入額の目安によって差があります。
上の表のように、収入額の目安が425~510万円の間で段階的に給付額に差が設けられているので、収入が低い人により有利な制度であると言えるでしょう。
支給要件は新築住宅の場合、床面積が50㎡以上で施行中に検査を受ければよいだけなので、さほど厳しいとは言えません。一般的な住宅を新築すれば、ほぼ問題なく受け取ることができると考えて良いです。
「すまい給付金」ですが、平成28年に予定されている消費税率の10%へのさらなる増税に対応して給付額が拡充されることがすでに決定しています。
消費税率が8%のときは年収が500万円の人でも給付額は10万円に留まりましたが、10%増税後においては40万円に増えています。年収が低い人には給付額が増加し、給付の受け取り手がより広がることになります。
続いて、消費税増税には少し遅れて創設された「省エネ住宅ポイント」を見ておきます。
省エネ住宅ポイント制度では、省エネ法のトップランナー基準相当の住宅など一定の省エネ基準を満たした住宅を新築したときに、一戸あたり30万ポイントが発行されます。
なお、申請の際には、基準を満たすことを証明する登録住宅性能評価機関等の第三者評価が必要です。「すまい給付金」のような、年収による発行ポイントの制限はありません。
注目すべきは、省エネ住宅ポイントが発行される住宅のメリットは、ポイントを受け取れるだけではなく、住宅の省エネ性能自体のために永続的に住宅のランニングコスト(冷暖房費や給湯費など)が低くなるということです。家計に与える恩恵は、住宅取得当初だけではないのです。
こちらは「すまい給付金」と違って現金が給付されるのではなく、受け取れるのは現金相当分のポイントである点に注意が必要です。とはいえ、ポイントは商品との交換、地域商品券との交換、当該住宅の請負工事業者の追加工事費用へ充当の3つから選べるので、ポイントを使わず無駄にしてしまうといった事態は発生しにくいようになっています。
上で見た二つの支援制度の効果を合計してみましょう。まずは「すまい給付金」で最大30万円(消費税率8%の場合)、次に「省エネ住宅ポイント」30万ポイント(30万円相当)。つまり合計60万円分となります。
ここで冒頭の計算を思い出してください。2,000万円の建物を新築する場合、消費税率が8%になると2,000万円×増税分3%=60万円の負担増でした。ということは、2つの制度をうまく利用することができれば、消費税増税分は完全に補填されることになります。
消費税率がアップしたからといって、住宅取得を諦めることはありません。新規の住宅購入や着工は政府の景気判断においても大きな材料とされているため、消費税が上がればその分は支援策で補うようにしているのです。