住宅ローンを組むときには、二度に渡って審査が行われます。一度目は、銀行など金融機関が行う「事前審査(仮審査)」、二度目は信用保証会社が行う「本審査」です。
金融機関や保証会社にとっては、住宅ローンとして低金利で大金を長期間にわたって貸すわけですから、果たしてその人がきちんと返済してくれるのか、審査はきちんとしておかねばなりません。
一方、借り手としては審査に通らなければ住宅購入ができなくなります。両者の思惑が絡み合う審査は、何も住宅ローンに限らず信販会社のクレジットカードでも銀行や消費者金融のカードローンでも同様です。
ただ、住宅ローンの審査の場合には様々な点でそれらのクレジットやカードローンとは異なりますので、住宅ローン審査の仕組みや見られている点を知っておきましょう。
審査では、申し込み者の返済能力と信用力が基本情報となります。まず返済能力ですが、これは申し込み者の収入と持続性がカギとなります。単純な話ですが、年収が高ければそれだけ多額のローンを組むことができ、収入源の安定性が高ければ高いほど、返済能力が持続すると考えてもらえるのです。
具体的には、返済額が収入の35%以内に収まるかどうかが分かれ道となります。とはいえ、実際問題として年収の35%が住居費に費やされると、家計は苦しくなります。できれば、ボーナス払いが0円でも返済額が月収の20~25%に収まるように返済プランを組みたいものです。
収入の安定性については、まずは年収が一定(400万円くらい)以上であること、企業の正社員または公務員であること、勤続年数が3年以上であること、完済時の年齢が80歳未満であることなどが重視されます。
もちろん、勤務先の企業が上場されている、長い歴史を持っている、公務員である、完済時の年齢が低いなどの条件があれば、より高評価となります。
また、いくら勤め先が安定していても本人が辞めてしまっては意味がありません。このため、勤続年数も重要となるのです。これらの情報は、申し込み時に源泉徴収票や確定申告書を提出することでチェックされます。
次に申し込み者本人の信用力ですが、大きなポイントとなるのが、「ブラックリスト」とされる表現、言葉です。
ブラックリストという紙が実際にあるわけではないのですが、すべての個人の金融履歴は信用情報機関で登録、記録がされているため、借金に関連する事故やトラブルを起こすと、ブラックリストと呼ばれるような状態となってしまうのです。
現在ではCIC(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つがあります。自分の信用情報が知りたければ、これらの情報センターに開示を求めることができるので、試してみても良いでしょう。
また、信用情報については別ページで詳細にまとめていますので、住宅ローンに限らずローン関連の審査を受ける際に信用情報を知っておきたい方は、信用情報とは何かを見てください。
なお、信用情報は以下のような理由で傷がついていきます。
最近ではスマートフォンの本体代金の実質値引きのために、毎月に分割で支払う契約をする形が多くなっています。携帯料金と同時に支払うために借金といった感覚がありませんが、本体の割賦払いの契約は立派な借金となります。
つまり、割賦契約が残っている状態で携帯料金の支払いが遅れてしまうと、それだけで信用情報に傷がつきます。数日程度の遅れで直ちに所謂「ブラックリスト」のようになるわけではありませんが、今後の審査でプラスに働かないことは確実です。
また、信用情報に傷がある人は、ほとんど複数の傷を持っていると言われています。要するに「お金にルーズ」とみなされるようなことはいけないのです。
それでは、住宅ローンの審査でより有利になるために、どんなことができるでしょうか?一般的な手段や方法は以下のようになります。
ともかく、余裕のある返済プラン、そして信用される生活を送ることが住宅ローン審査のカギとなります。
住宅ローンの審査に通りたいばっかりに複数の銀行に多重申し込みをする、という行為は避けましょう。各行の審査基準はほぼ同じであるため、その努力は徒労に終わるだけではなく、「複数に申し込むということは、何かやましいところがある」とマイナス判断されかねません。
審査では通る通らないだけでなく、どのくらい金利が優遇されるかも決定されるので、住宅ローンを組む予定があるのであれば、何年も前からできるだけの努力はしておきたいところです。