「期間固定金利」という住宅ローンの金利コースは、もしかしたら耳慣れないものかもしれません。しかし、銀行各行において現在は主力となりつつある住宅ローンが、この期間固定金利なのです。固定でもなく変動でもない、期間固定金利について、簡単に知っておきましょう。
「期間固定金利」という住宅ローンの金利コースは、もしかしたら耳慣れないものかもしれません。しかし、銀行各行において現在は主力となりつつある住宅ローンが、この期間固定金利なのです。固定でもなく変動でもない、期間固定金利について、簡単に知っておきましょう。
まずは期間固定金利とは何なのかについてご説明します。期間固定金利とは、借り入れ当初から一定期間は固定金利で、期間の経過後に、その時点の金利で再び同じ期間固定金利を続けるのか変動金利に切り替わるのかを選択できる、という金利コースです。
二度目の固定期間終了時も同様に、三度その時点の金利で期間固定を続けるか、変動にするかを選べます。この選択は、期間固定を続ける限り繰り返します。
とある銀行の確認日時点の金利を例にとって説明すると、固定期間は以下の8パターンを用意しています。
期間 | 1年 | 2年 | 3年 | 5年 |
---|---|---|---|---|
金利 | 1.20%~ 1.40% |
1.30%~ 1.50% |
1.40%~ 1.60% |
1.50%~ 1.70% |
期間 | 7年 | 10年 | 15年 | 20年 |
金利 | 1.70%~ 1.90% |
1.75%~ 1.95% |
2.60%~ 2.80% |
3.05%~ 3.25% |
固定期間が長くなるにつれて、固定期間の金利が高くなっていくのが分かります。特に国債の最大償還期間である10年を超えると、一気に金利が上がります。これは、それだけ銀行がリスクを取っているということです。
期間固定金利のメリットは、何といっても金利の引き下げ率が大きいことです。各行とも、この引下げ率に工夫を凝らして魅力的な住宅ローンを設計しています。
上記で挙げたとある銀行を例にとると、変動に切り替えた後も含めた全期間において店頭金利から1.5~1.7%引き下げるコースと、当初期間のみ2.2%でその後は1.4%の引き下げとなるコースと、2つのコースから選べるようにもしています。
期間 | 5年 | 10年 |
---|---|---|
当初金利 | 1.00% | 1.20% |
こちらは当初の固定期間(5年間または10年間だけ)の金利が、先ほどのコースと比べて格段に低いことに注目してください。
ただし、その期間の終了後は再び期間固定を選ぼうが変動を選ぼうが、先ほどのコースより0.1~0.3%不利な金利になることに注意が必要です。ほとんどの人は不利な期間の方が長くなるため、将来の収入増が予定されている場合などに利用するのが良いです。
両コースとも、期間は決まっているにしても固定の金利で、しかも市場の動向を見てさらに金利の低い変動に切り替える権利を得たままで、固定金利(20年で3.05~3.25%)よりも有利な金利設定となっています。
このように期間固定金利は各金融機関で様々なプランやコースを用意している、主力となりつつある商品なのです。しっかりと商品内容を確認し、どのプランやコースにするかを決める必要があります。
うっかり勘違いしやすい期間固定金利の注意点について触れておきます。一定期間の終了後は変動に切り替えるか、または再び同期間の固定金利を続けるか選べるということは上にも書きましたが、固定金利を続けるときの金利は、当初の金利とは違うということです。
つまり、固定期間3年のローンを組み、1.40%の金利で3年が経過した後に選べる3年固定金利は、下落して1.20%になっているか上昇して1.60%になっているか、はたまたもっと大きい変動を遂げているか、これは市場が決定することで誰にも予想できません。
ですから、期間固定金利はその名の「固定」という語に引っ張られず、変動金利が変化したものとくらいに考えておいた方が良いでしょう。
あくまで期間が限定された固定金利となるため、その間に大幅な金利変動が起こっていれば、結局は高い金利で住宅ローンの支払いをしなければならない可能性があるのです。
とはいえ、期間固定金利はやはり妙味のある金利コースです。なぜなら、みずほ銀行も三井住友銀行も三菱UFJ銀行もメガバンク3行とも、期間終了後に変動金利に切り替えるときの金利は、借り入れ当初から変動金利を選択していた人と全く同率(同じ金利引き下げ、三菱UFJ銀行なら現在0.775%)になるのです。
ですから期間固定金利は、一定期間はやや不利な金利でも安心を確保しながら、ある程度返済が進んで元本が減った、つまりリスクに耐えうる時期には金利の有利な変動に切り替えるというのが有用な使い方です。
ということは、やはり総返済期間の半分程度は固定期間を確保しておきたいものです。低金利が目を引く1年固定や3年固定には、あまり有効な使い道はないと言えます。
期間固定金利は使い方次第でお得にも損にもなる住宅ローンで、正しい確実な返済プランの組み立てが必要とも言えます。それぞれの家庭の経済状況によってもベターな期間が変わりますので、しっかりと選び、相談をして決めるようにしましょう。